犬居城(いぬいじょう)
犬居城の基本情報
通称・別名
- 乾城、鐘掛城、鞍掛城
所在地
- 静岡県浜松市天竜区春野町堀之内
旧国名
- 遠江国
分類・構造
- 山城
天守構造
- -
築城主
- 天野氏
築城年
- 南北朝時代?
主な改修者
- 武田氏
主な城主
- 天野氏
廃城年
- -
遺構
- 曲輪、土塁、堀切、横堀(空堀)、竪堀、土橋
指定文化財
- 県史跡(犬居城跡)
再建造物
- 碑、説明板
周辺の城
-
中日向城(静岡県浜松市)[8.0km]
二俣城(静岡県浜松市)[13.4km]
天方城(静岡県周智郡)[13.8km]
鳥羽山城(静岡県浜松市)[13.9km]
社山城(静岡県磐田市)[16.6km]
飯田城(静岡県周智郡)[17.7km]
大平城(静岡県浜松市)[18.2km]
高根城(静岡県浜松市)[21.1km]
三岳城(静岡県浜松市)[21.9km]
久野城(静岡県袋井市)[22.0km]
犬居城の解説文
犬居城の口コミ情報
2023年05月22日 RED副将軍
犬居城
徳川家康との戦いに備えて武田流に魔改変された天野氏の居城🏯
オススメ度 ★★★★⭐︎
築城年代は不詳。有力国人の天野氏によって南北朝時代に築かれた居城とされます。
天野氏は、承久の乱の戦功により地頭として入部し土着。戦国時代には今川義元の重臣として勢力を拡大しました。
1560年に桶狭間の戦いにて今川義元が没すると今川氏から離反。徳川家康の調略を受けて今川領の遠江侵攻に協力しました。その後は更に武田信玄とも通じており、やがて武田氏配下となりました。
1572年、武田信玄による遠江侵攻において天野藤秀は武田軍の先方衆として徳川家康と交戦。
この頃に徳川家康との戦いに備えて犬居城は大規模な改修が行われたとされ、武田流の城郭遺構が現在も残ります。
1574年に徳川家康が犬居城を攻め寄せた際は撃退しましたが、1576年の再度の侵攻時には落城。天野氏は甲斐の武田勝頼のもとへ逃れ、犬居城は廃城となった様です。
甲斐に逃れた天野氏は、武田氏が滅亡してからも北条氏に仕えたことが記録に残ります。
見所
標高255m行者山の山頂に築かれています。
山頂部は展望台が建っており、狭いことから物見台であったと思われます。ピークから西尾根には鞍部の自然地形を利用した深さ15mの大堀切があります。
山頂から東へ伸びた尾根は東西に広い削平地が広がり主郭と思われます。緩やかな北側斜面に帯郭を配し、東端は枡形虎口となっています。
枡形の東側は堀切と土橋で区切られた馬出し構造が配され、馬出しは側面に三日月状の横掘が巡り、堀切から伸びる竪堀と横掘の間を通路としている虎口が北側に開口しています。
この馬出し周辺が一番の見所でテクニカルな武田流の築城術を感じることができます。
但し、登山道が整備されているわりに横堀等の城郭遺構はヤブ化。写真は映えませんので手練れの山城ハンターの皆さまは心眼を用いて感じ取ってください。
行き方は、国道362号から犬居橋を渡り、陸橋を北へ進むと城域南東麓に登山口があります。登山口の入口に駐車スペースがあります。
写真
①②③馬出しを巡る横堀
④⑤馬出しはスロープ状の土橋で連結
⑥主郭と馬出しを隔てる堀切
⑦分かりにくいですが大堀切
⑧物見に建つ展望台
2022年06月23日 国府左京大夫城介
堀の内の城山[犬居城 周辺城郭]
徳川家康が犬居城攻めのために改修した陣城
【歴史】
16世紀前半に犬居城主の天野氏が、犬居城の支城として築く。
その後、天正2年(1574)または天正4年(1576)に、徳川家康が犬居城の天野氏を攻めるために陣城として改修した。犬居城陥落後、廃城となった。
【遺構】
気田川を挟んで、犬居城の南東1.4kmにある標高330m(比高220m)の山中に築かれている。
本曲輪、二の曲輪、腰曲輪、土橋、二重堀切が残っている。
【感想】
「藪が凄い!」の一言に尽きます。入口から藪が覆い茂り、奥に行くにつれ、背丈近くまで伸び放題となっています。とにかく、人が通った痕跡を探すことが難しく、下手に藪に入り込むと完全に方向を見失うと思います。なんとか、二の曲輪までは藪の中を四つん這いになりながら突破できましたが、そこから本曲輪への道が見つけらず断念しました。おそらく冬に訪れてもあまり状況は変わらないと思われますが、多少はマシになるかと思います。
この城を紹介している本や、先人たちのサイト(2011年付近に訪城したサイト)では、発掘調査後に綺麗に整備された遺構の写真が載っています。しかし、整備されてから10年以上経ち、完全に放置されると、このような状態になるんだなという見本のようなお城です(-_-;)
因みに、麓から登る九十九折の登城道は、秋葉街道(相良-塩尻)・別名「塩の道」と呼ばれる古道です。
【アクセス】
犬居城の登城口から徒歩10分程で、気田川沿いにある登り口があり、そこから約30分程で城域に達します。
「堀之内城山コース」という立て看板があるので、それに従って行くことが出来る。
車の場合、南東側から登れる林道があり、近くまで登ることは可能。ただし、山中に畑があり、地元の方も車で登っているようなので、駐車をする際には注意してください。
【写真】
①秋葉街道(塩の道)
②入口
③堀切
④土橋
⑤土橋(別角度から)
⑥二の曲輪
2022年06月20日 やまぴぃ
犬居城
昨日、遠州の山奥の城攻めを敢行、その途中で犬居城に行ってきました🏯最初登城口が分からず、少し探しました😅
頂上までの道は意外と整備されており、安心して進んでいたのも束の間、勾配がキツく結構大変でしたが、頂上にある展望台からの眺めは絶品でした☺️お城もいいですが、最近は城址にはまっており、景色がよかったり、全体をイメージするのも楽しいです。
登るのは少し大変ですが、景色がいいので、一度行ってみてください🤗
2021年09月13日 駿河守かわ
犬居城
頂上に展望台があり景色はかなり良いです。道中は軽登山のような状態で雨も少し降っており、足場は良くない状態でした。途中、鹿に遭遇しました^_^
2021年03月10日 陸奥権中納言景衡
犬居城
けっこう急な坂を登りますので、歩きやすい靴と服装をおすすめします。見晴らしは素晴らしいですよ❗
2021年02月24日 しげしげ主税頭信繁
犬居城
国道362号新秋葉橋を渡ったら信号を右折し100〜200m位の所(案内板あり)左折すると登城口があります。登城口から30分程登ると城址にたどり着きます。よく整備されており迷う事なく登城できました。
2020年10月04日 内大臣尼子保久
犬居城
強者どもが夢の跡的な雰囲気でした。草木で周囲の景色が見えづらかった。
2020年08月05日 源山城守@ポンコ2…
案内標識[犬居城 碑・説明板]
公共交通機関で登城される方は、遠州鉄道西鹿島駅から遠鉄バス春野行でバス停「天竜高校春野校舎」が最寄りです(¥700、約50分)。
本数は午前中1時間に1本、午後は2時間に1本でした。
浜松駅から行かれる場合は、遠州鉄道新浜松駅―西鹿島駅に乗る必要(¥480、32分)があり、遠州鉄道と遠鉄バスが1日乗り放題の遠鉄ぶらりきっぷ(¥1,570、新浜松駅で購入可)がお得です。
他にも袋井駅から秋葉バスで最寄りまで行くコースもあります。
下車してから東にまっすぐ進むとフォトの標識があり、沿って進むと熱田神社前に「的場」の立札と土塁があり、麓の居館跡に残る遺構だそうです。
国道362号線上の陸橋を渡り上がっていくと、「犬居城址0.6km25分」の標識があるのが登り口で、バス停から徒歩10分ほどでした。
登城路は東海自然道として整備されており、草木をかき分けての心配はないですが、舗装されてるわけでないので革靴ではちとしんどかったです。
最初のつづら折りのところまでの坂道がややきつく感じましたが、折りの先にいくと東曲輪を囲う三日月堀(空堀)になります。夏場で草に覆われ、わかりにくかったです。
空堀を越え東曲輪に進むと、西側に二の曲輪が土橋でつながっており、東曲輪は馬出機能になってるようでした。
西の尾根に沿って、二の曲輪、一段高くなったところに本曲輪、一番高いところに物見台があり、今はコンクリート製の展望台がありました。
暑さでやられたのと草繁茂でわからなかったですが、復習で縄張図を見ていて、もしかしたら二の曲輪に桝形が備わっていたように感じられました。
「犬居城址0.6~」の標識から本曲輪まで、20分ほどでしたが、遺構がよくわかる春や晩秋のほうが、より理解が深まったかと反省しております。
登城して感じたのは、川や街道がある東にわりと防御が注力されているようでした。
西の堀切や帯曲輪なども確認したかったですが、戻りのバスの時間が気になり、駆け足で下城し、往きより5分短くバス停に行けました。
草むらに入らなかったからかヒルなど大丈夫でしたが、じっくり遺構確認されたい場合は、夏以外のほうがよいかと。
また、公共交通で行かれる場合は、計画的に行かれたほうがよい城でした。
2020年06月30日 【G6】OROKA参議
萩野城[犬居城 周辺城郭]
【無名の城の土橋を堪能】
萩野(はぎの)城は、犬居城の東に位置する城で、同城主である天野氏の支城です。
アクセスは少し難しく、城から北西から尾根伝いに登る事になります。
県道263号の筏戸橋や熊野神社のあるあたり(U字カーブの手前)に、旧道の橋があります。ここが小さな公園のようになっていて、ここから登る事になります。(車もこのあたりに停めました。)
この公園からは少し強引に右手の山を意識して直登しますが、しばらくすると薄い道が出てきます。急な傾斜に心が折れそうになりますが15分ほどで切通のような場所に出ます。切通を行くのではなくここの左手の尾根をさらに登ります。そこから10分ほどで城に着きます。
城域に入ると、めちゃ明瞭な堀切と土橋が現れます。これだけでも見に来る価値があります。
あまり大きな郭はありませんけど、他にも虎口や岩を掘ったような堀切、単騎駆けのような細い尾根もあり、有事の支城という雰囲気がバリバリしてなかなか楽しめます。
有名どころは飽きた、静岡のマニアックな城を攻めてやるぜ、という方には萩野城をオススメします(*´-`)
2018年01月04日 笑門来猫
犬居城
遺構は東側に集中ということで、犬居橋側にある小道から登城。入口に車3台くらいのスペースあります。
最初に現れる東郭の三日月堀が、最大の見所。その後も郭が続きますが、遊歩道を歩くだけではよくわからない。少し藪の奥に入る必要ありますが、ニノ郭の下も三日月堀になってるし、竪堀や土塁もあるし、なかなか見所あり。物見郭の先の大堀切を見て引き返しました。。
2016年12月30日 まー刑部卿
犬居城
『春野ふれあい公園』の駐車。トイレの前にある『はるのすみれの里 ウォーキングマップ』で登城口を確認しました。正面には物見台風の展望台が見えます。ただ案内板がなかったため野球グランド沿いをひたすら歩くと少し開けた場所に出てそこから登って行きました。七曲りのような急坂で落ち葉や小石が落ちて滑りやすかったです。登った先はニの曲輪で右手に進み本曲輪を進み物見台風展望台に着く。そこにある説明板で物見曲輪とわかる。そこには謎の石像と『犬居城址望楼建設記』・『犬居城址碑』・犬居城址顕彰会が書かれた『鐘掛城址』の手書き(一部文字が消えている)説明板・犬居城址鳥瞰図・説明板がある。先人の云う東曲輪の三日月堀や竪堀は藪で明瞭にわからず。帰りにニの曲輪と東曲輪の間に木造の階段を降りる。道路に出るとパターゴルフ8番ホールが見えます。ここを目印として登って下さい。なお登城路に水が流れて泥になってたり草や枝を掻き分けて進まなければ行けないしひたすら登るので山城初心者にはオススメ出来ないかと。また先人の云う三日月堀などは説明板がないためわからないし明瞭に見えなかったです。物見台風展望台からの眺めは良かったです。
2015年04月07日
犬居城
麓にある春野ふれあい公園に駐車場やトイレ、自販機があります。
公共交通機関の場合は、遠州鉄道西鹿島駅から春野車庫行きバスでふれあい公園下車が便利です。
城主の天野氏は遠北に進出した今川氏親の代に今川氏に服属。今川軍の有力国衆として数々の合戦で戦功を挙げ、今川氏衰退後は武田氏に従いました。
東曲輪に残る三日月堀や長大な竪堀は武田氏に従った後の改修だと思われます。
はっきりとした遺構が残っていますし、登りもさほどきつくないので山城初心者の方にもおすすめの城です。
近辺には秋葉神社、天野氏の墓がある瑞雲院があります。
2010年09月12日 三河守コーキしゃん
犬居城
一つ一つの郭がしっかり残っていて全体が把握しやすい見応えのあるお城です
遺構
標高290mの鐘打山の山頂に築かれている。天竜川下流部からの侵入を阻止・監視するのに適した立地だ。山頂に置かれた物見曲輪からは、気田川流域や直下を通る秋葉街道を見下ろせ、北斜面や西斜面の見通しも利く。物見曲輪を西端として、尾根に沿って曲輪が配置されている。一般的な山城のように尾根を軸として階段状に曲輪を配置するのではなく、尾根から北斜面に向けて、尾根と並行するように本曲輪を設け、それに付随する二の曲輪や腰曲輪を3段に配置した珍しい構造だ。北斜面が緩やかであるため、防御を意識してのことだろう。
本曲輪の東端付近をはじめ、城の東側に武田配下時代の大改修と思われる技巧性が光る。本曲輪と三の曲輪(馬出曲輪)とを繋ぐ土橋の境は内枡形状の土塁で防御力を高めてあり、土橋の両側は長大な竪堀で遮断している。三の曲輪の東側を囲む、U字型の横堀と土塁も圧巻だ。
歴史
築城時期は定かではないが、南北朝時代に天野氏によって築かれたとされる。天野氏は承久の乱後に山香荘地頭として入部し、国人領主として成長。遠江の有力国人となり、戦国時代には今川義元の有力被官として犬居城を本城として勢力を誇った。
永禄3年(1560)の桶狭間の戦いで義元が敗れると、一時は徳川家康に与するも、北遠江の奥山氏とともに武田信玄の支配下に入った。元亀3年(1572)の信玄による遠江侵攻では、天野藤秀は武田軍の先導役となっている。武田配下にあった元亀年間(1570〜1573)頃には、対家康戦に備えて犬居城の大規模な改修が行われた。
天正2年(1574)に家康に犬居城を攻められた際は撃退したが、天正4年(1576)に再び侵攻され敗走。天野氏は家臣団とともに、武田勝頼を頼って甲斐に逃れた。鎌倉時代から続く名門・天野氏の滅亡とともに、犬居城も廃城となったとみられている。
交通
・新東名高速道路浜松浜北ICから車で約40分参考文献
・『静岡の山城ベスト50を歩く』サンライズ出版、2009年