芝宮砦

芝宮砦([真田氏館  周辺城郭])

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芝宮砦の口コミ情報

2024年09月29日 内記かずりヾ(・ε・。)


芝宮砦は真田氏館の南方約8.4km、塩川沢西岸(左岸)、千曲川南岸(左岸)、標高約514mの河岸段丘台地東縁部上平場に立地する砦です。北麓の長野県道81号、丸子東部インター線からの比高は20m位でしょか。但し、段丘台地上に上がれば此処からの比高は無いに等しい。該地は塩川沢の蛇行点へ向けて張り出す狭小な舌状台地でもある。

行き方はGoogleマップに位置登録されているのでダイレクト設定して下さい。車の捨て場所は己れの持つ器量で何とかしよう。おいらはかなり離れた場所からてくてく歩いている。

築城年代、築城者は不明です。砦は、天正十三年(西暦1585年)、第一次上田合戦、通称、「神川の戦い」において、小諸城へ陣払いする徳川勢が利用したとも伝わる。つまりは殿軍の陣所だ。

お城マニアにとって、この砦は戦国時代の事跡でしか語られる事が無い訳だが、むしろ砦の場所は中世の居館跡として見るべきである。即ち、塩川に拠った塩河(川)氏の居館地であったとも推測されている。

該地の塩川は「高代寺日記」に「猿猴ノ牧」として記述がある。後に「猿猴」は「塩河」と改められ「塩河牧」と呼ばれるようになった。同牧は、延喜式の定める信濃十六牧の中には見えないが、「吾妻鏡」、文治二年(西暦1186年)三月十二日庚寅の条、「乃貢未済庄々注文」の中に、貢税を未済する左馬寮領、信濃二十八牧の一つに塩河牧が見られる。平安時代以降に成立した牧なんだろう。

「高代寺日記」によれば、この猿猴ノ牧の主代となったのが藤原中務仲光であり、同名が「猿猴」を「塩河」に改めたとされる(既に同書の中で異説が存在する。)。仲光は、妻(紀氏)の舎弟、紀ノ四郎を遣わして牧を経営させ、その後裔は在名をとって塩河氏を称した。四郎は仲光の代官としての役割を担っていたのだろう、塩川沢の上流には「藤原田」の地名が残っているそうだが、これは直営田の事を表しているのだろうか。又、同書では、猿猴ノ牧に吉河中務丞貞信なる人物が移り住んだとも言っている。同名は馬芸の名手であったが、後に念仏三昧となり一庵として猿猴寺を同地に建立したんだそう。

「吾妻鑑」、承久三年(西暦1221年)四月小二十二日の条に、北条泰時の上洛に従う供の十八騎の中に塩河中務丞の名が見られる。又、「承久記」にも、東山道を馳せ上る武士の中に塩川三郎の名が見られる。中務丞と三郎は時代的に考えると同一人物であろうか。何れにせよ、該地はこうした塩河(川)氏の居館地であったと推測されている訳だ。

砦の現況は耕作地、一般住宅とその敷地、芝宮神社等となっている。城郭遺構は何一つ見出せないが、塩川の蛇行点に張り出す舌状台地は西側を除けば侵食の進んだ結構な崖地であり、此処に住んでて不安にならないのかな等と思わず居住者を心配してしまったりもする。ちなみに同じ真田氏館のリア攻めマップにある市の町砦も塩川台地上の同様の地形に占地しているが、市の町砦と芝宮砦には、台地上の塩河牧を経営する武士の居館地といった趣きが強く感じられる。天正十三年、第一次上田合戦、通称、「神川の戦い」のみの事跡で城歴を捉えるのでは多分に不足が生じる。

塩河牧は木曽駒の名産地として知られていたらしいけど、今はだだっ広いただの水田地帯に往時は数多くの木曽馬が放牧されていた…とか想像してみるときゅんきゅんしてくるわ。ちなみに付近にある「松葉」の小字は、「馬ツ場」か「的馬」が転化したものだと推測されている。荘園条里制の地割が今も残る塩川台地だけど、牧経営が困難になる以前には木曽駒パラダイスだった訳だ。

※藤原中務仲光〜左馬頭であった源(多田)満仲の郎党であった。左馬寮領である猿猴ノ牧の差配を委ねられたのもそれが理由だろう。

※過去に発掘調査が行われている。ネットで探し出せなかったので未見…

※木曽駒〜背は低いけど、間近で見ると実に力強い働くお馬さんだ。重馬場でも余裕でイケる。ポニーと一緒にしてはいけない。

※写真①は北東麓、長野県道81号から撮影した近景っす。

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