矢沢支城

矢沢支城([真田氏館  周辺城郭])

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矢沢支城の口コミ情報

2024年08月15日 内記かずりヾ(・ε・。)


矢沢支城(古城)は真田氏館の南方約2.2km、神川東岸(左岸)、標高1193.6mの殿城山西南中腹、標高約765m地点の緩斜面上平場に立地する要害です。西麓の長野県道176号、下原大屋停車場線からの比高は175m位でしょか。西麓には同じ真田氏館のリア攻めマップにある矢沢城が立地する。該地の上田市殿城は山上の高台であり、殿城山の中腹とはいえ集落が存在する。

行き方はGoogleマップに位置登録されているのでダイレクト設定して下さい。何の苦労も無く城域に横付け出来る。車はそこら辺に捨てられるが農事の邪魔にならないよう配慮しよう。

築城年代は不明、築城者は矢沢氏とされる。矢沢氏と言えば、真田頼昌の三男(二男に幸綱がいる。つまりは実弟である。)、源之助頼綱が養嗣子に入った事で知られるが、それ以前の系譜となるとはっきりしない。一説によれば諏訪氏の分流、確実なのは滋野嫡流三家と呼ばれる、海野氏、望月氏、祢津氏に近い関係を持つ在地土豪の一氏といったところか。佐久郡下之城の両羽明神の石龕銘文には、「元祖神前エ軍中之祈念成就 海野望月両家氏敬白 時正慶二(西暦1333年)癸酉三月廿八日 矢沢氏根津氏 兵米二石進而 祈念申大宮神守」とある。又、海野氏の開削と伝わる吉田堰は、矢沢の城山の山裾に沿って流れており、これにより惣領制の恩恵を直接受けていたとも考えられる。

矢沢氏は神氏の一党でもある。いつの頃からなのかを明らかにする事は出来ないが、「守矢満実書留」、文明二年(西暦1470年)二月四日の条には、「一 大県介宮付矢澤幸有、御苻礼一貫、皮、路銭八百文、使三郎、御左口神付申礼一貫借耒候、」とあり、これが同氏の諏訪社上社神使御頭としての勤仕の初見である。

この神氏系の矢沢氏は、天文十年(西暦1541年)五月の「海野平の戦い」を境に断絶したとも考察されているが、問題なのは戦いの後に矢沢氏が村上氏からどのような処遇を受けたのかが全くの不明である事だ。前述の源之助頼綱は、天文十九年(西暦1550年)九月の「戸石崩れ」の際には、戸石城の籠城衆の一人であった事が知られている。同城の城番衆を在地で務めていたとも考えられるが、単純に海野氏と滅亡を共にせず、所領は安堵され断絶を免かれていたとは言えないのだろうか。何れにせよ矢沢氏の事跡がはっきりとするのは、後に薩摩守を名乗った上州チート技の持ち主、頼綱以降の話である。

お城は山上の高台の西縁部に築かれ、西辺は急峻な山尾根に通じ、北辺は崖地となっている。南辺も往時は崖地に近かったろう。縄張的には、連続する高台上を2条の横堀で掘り切った単純なもの。現況は雑木林、耕作地等である。確かに縄張図にあるとおり2条の堀形が残っているが、その内の1条を遺構と判断してよいのかは微妙なところだ。城域の西側半分は激藪、何も見出せないので探索する必要性が微塵も無い。

ちなみに平成二十三年(西暦2011年)に殿城地区中山間ほ場整備事業計画に伴い、矢沢氏支城跡として発掘調査が行われている。トレンチから遺構、遺物の検出はなかったが、そもそも論で発掘場所が該地とは別の場所である。少なくとも行政側としては現在も位置の特定に致っていない(埋蔵文化財包蔵地として認識されている。)。

大好きな矢沢頼綱の事跡については別の機会に譲る事にする。字数が足りなくなるんで…

※殿城山〜山頂部には同じ真田氏館のリア攻めマップにある殿城山城が立地する。写真撮り直しに登ろうかと思ったけど、相当な面倒を強いられるので今回は諦めた。

※「小県郡誌」では西麓の矢沢城の支砦とするが、「古城」の小字からすれば矢沢氏初期の要害とするのが妥当だろう。

※近世に入ると真田氏の家臣として存続した矢沢氏だが、初見が真田氏よりも古い氏族であり、南北朝時代には遥かに大身であったと思われる。

※矢沢頼綱のwikiの記述が酷過ぎる。同サイトの記述はライター次第なので取り扱いには十分注意しよう。下手な引用は論外だ。

※写真①は矢沢集落付近から撮影した近景っす。たぶん真ん中辺り…

※写真⑧は城域付近からの展望、眺めだけはすこぶる良い。

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