上原城諏訪氏館（板垣平）

上原城諏訪氏館（板垣平）の口コミ情報

2025年11月21日 内記かずりヾ(・ε・。）


上原城諏訪氏館（板垣平）は諏訪氏城館（上原城）の南西約0.3km、上川北岸（右岸）、宮川北岸（右岸）、上原城が山頂部に立地する、標高978mの金毘羅山の南面中腹、標高約842m地点の平場に立地した居館です。南麓の千鹿頭神社からの比高は30m位でしょか。簡単に言えば上原城を要害とする金毘羅山下段の居館城であり、諏訪氏城跡として長野県の指定史跡である。

行き方はGoogleマップに位置登録されているのでダイレクト設定して下さい。駐車場も付いている。

築かれた年代は不明だが、室町時代の後期。諏訪氏五代の居館であったと推測されている。但し、確証は無いらしく、それを裏付ける史料等も存在しない。

天文十二年（西暦1543年）、諏訪氏を滅ぼした武田氏によって、上原城は諏訪郡を統べるべく拠点城として鍬立が執り行われ、新たに普請（改修）が始まった。この上原城に在城したのが武田氏の両職と呼ばれた板垣信形であり、実質上、諏訪郡の郡代であった。該地は同名が居した場所と推測されており、字名は別称にあるとおり「板垣平」だ。

「高白斎記」、天文十二年の条には、「四月大、朔日乙亥、六日庚辰、常ノ間ノ御棟挙、辰刻（板垣）信形諏訪郡ニ被踞、久々ノ由上意、御使者今井勢州（信甫）、甘利備前守（虎泰）、（駒井）高白、五月廿五日辛未、巳刻、向巳午上原ノ城ノ鍬立七九、六月大、甲戌、十一日土用甲申、日也、信形諏訪ニ在城ノ門出、十五日信形出陣、十七日己寅、午ノ刻、屋形様（武田晴信）御出張、十九日上原へ御着、廿日普請、雨、廿六日己亥、城ノ御座建、並御門四ツ、城戸建、廿九日節、七月十三日丙辰、初テ長坂（虎房）上原在城衆移ル、」とあり、板垣信形が上原城の在城を指図された事、同城の鍬立が行われた事、長坂虎房等の在城衆が上原に移った事等が細かく書かれている。又、別に武田晴信の御座が建った事、御門が四ツ、城戸が建った事も併せて書かれている。

「高白斎記」、天文十三年（西暦1544年）の条には、「七月大、朔日戌戍、（板垣）信形諏訪ノ屋敷鍬立、六月節ノ内也、十日七月節、八月廿八日乙未、信形丑刻ニ出府、諏訪郡ニ在城、」とあり、板垣信形の屋敷が諏訪郡に鍬立された事が書かれている。

「神使御頭之日記」、天文十三年の条には、「此年七月五日ニ小城板垣殿屋敷立候、」とあり、板垣信形の屋敷を「小城」と書いている。諏訪社上社側では山上の要害は大城との認識であろうか。

居館の現況は…空地となり、資材置場等となっている。舗装林道沿いには、「上原城諏訪氏館跡」と大書された立派な石碑が建っているので通り過ぎる事もないだろう。一見するとただの広大な削平地だが、谷側には雛壇状に腰郭が設けられており、山麓からの要害性は意外にも高い。往時の登路は東麓の板垣屋敷通りからこの小郭群を縫って登るものであろうか。城郭遺構は消滅していると思われるが、最上段の腰郭には時期不明なるも番所跡を想起させるコの字形の石列が確認出来る。

現地説明板には、「…前略、そして天正十年（一五八二年）三月まで四〇年間、武田氏の諏訪統治の拠点となった所です。…後略、」と書かれているが、天文十八年（西暦1549年）には、高島城のリア攻めマップにある高島古城が新たに鍬立され、以降、上原城に代わる拠点城として城下の整備も併せて行われている事から、実質的に上原城が諏訪郡の拠点城であった期間は約五年であった筈だ。

※板垣信形〜信方の方でよく知られる。大河ドラマ、武田信玄で菅原文太さんが好演していた。天文十七年（西暦1548年）二月十四日、「上田原の戦い」において討死、同地の古戦場跡には信方の五輪塔が残り、同名を祀る板垣神社が鎮座している（上田城のリア攻めマップにスポット登録してある。）。

※御使者〜板垣信形へ上原在城を指図するために、今井勢州（信甫）、甘利備前守（虎泰）、（駒井）高白（筆者である。）が使者に立った訳だが錚々たる面子だ。家中で重きを為す信形の立場が垣間見れる。

※肝心の石碑の写真を撮り忘れる大失態…